数日ぶりに平常心を取り戻したようなでもまだ今回の脱皮の途中で震えてるみたいな背筋、つよい風がこわい。 中秋の名月が、ちょうどそこに出来ていた飛行機雲の影を作りながら、その向こうを通過するようにのぼっていって、少しだけ光を増した。

地図に爆撃が落ちる夢、身近な人達のスプラッタな夢、肉と骨を切る感触、目だけ覚めて胃痛、とても時間が過ぎた。煙も血も色を持って、ゆっくりとそのように動いていた。

夏の終わりの帰路のこと

快速列車で二時間半の帰りの夕方の車窓が素晴らしかった。川沿いをランニングするひと、水面に反射する光の揺れ。涼しくなって、畑で草刈り機を動かしているひと。私の隣の座席には、一声かけて座られたサラリーマンのおじさんが、体を通路側に少し斜めに向…

朝、ごみ出しに玄関の扉を開けた瞬間、セミの鳴き声の轟音がした。庭に父が植えた覚えのない白いサルスベリが、どこからか飛んできて立派に育っている。 夜、田んぼのかえるの大合唱、電気を消した部屋へカーテン越しに雷の光が入ってくる。

古い建物の薄暗い廊下を突き当たったその横側に次の行路が出現する移動原則に従って目的地の無い前提を辿っていくように進む

頭の中でぶつかりあっているものがひとつひとつ分裂して、しばらく別々に休憩して、もとに戻ってくる、みたいにしたい。

また夢の中で会ってしまった。そしてもう忘れてしまったと30分後。しかしそれは、ただ私に優しいだけのなにかです。

解除とは

夢日記:

はぐれ者たちが集まった酒場、突如襲撃を受け破壊される建物の音、敵、共闘。 戦いに勝ったのかわからないがやがて塔が空へ登ってゆく。同じ悪意をした生き物の船を道連れて上昇してゆく。一つの終わりがみられる。 私たちは無事だった大きな船に乗り、悪意…

朝5時半、エアコンの音の向こうに列車の走り過ぎる音がした。外気温が−2℃とあったから暖房をつけていて、座椅子で腰の冷えを守って、自分の心を落ち着かせるすべを探しながら、考えているのはすべて自分の気持ちを守る言い訳である気がする。(走り書きよ…

夢日記:放し飽いて

私たちは図書館でまた会う。私は捨てる前に潰した、空の入れ物を掴んだままで(片手で大きい本を取ってページを捲るのかしら)、断る理由が無い。いつ誰としたかわからない、約束を捨てる場所が無かった。館内の明るさで君は灰色の影に成りすましている。君…

のうのうとしている自分を頭の上から地面に叩きつける体が動かなくなるまで、体を動かなくして考え始める、続け方、自分への見限りを祝福として。

夢日記:ただの関係性、それによる疲弊

家族でさして重要ではない目的地へ向かってあちらが正しいのに皆違う方へ歩いていき、自分は気付いているのに声に出せず、コンクリートの表面も色薄まる明るく暑い晴れた日向を歩いているから、目が覚めた布団の中は温まっていた。こちらにしか辿り着けない…

余計な思考はどんどん増えていくのだと、枝分かれして広がって頭蓋を出て髪に染み出しているのでは、句点が打てない、(認識して、切断して、処理して、)

冬至を抜けたまだ暗い朝に雨がしとしと降っていて、時折“タン”と屋根に大きくひとつぶが落ちるとき少しこわくなる。 事柄、事象、今起きたこと、今起きていること、これから起きるかもしれないこと、それらによって、制限がかかるような機能、解く、解く、と…

頭のまわりを周遊する軌道がいくつかあって、そのどれにも視点が合わず、ただなにかが動いている。 露出オーバーしていって、光によって見えなくなる光、人からも見えない、私もなにも見えないで、不干渉にとどまって、さわらないで、歌って。

夜のあいだに、自分以外の人間への感知の休止をする。喧騒より煩い一つ一つの響きになって、嫌悪が膨れあがった癇癪を、他人が静寂であることを蓄えるような、おかしな、おかしな、

10月3日 はやく長袖のカットソーで腕を覆いたい。 10月4日 頭を冷やすのに一時間掛かった。 自分のみているものを信じること以外になにもない。 10月7日 ここにこころあらず 10月31日 スーパーのお惣菜コーナーの、栗の形をした栗の実入りの焼き栗コロッケが…

だれかと同じところへ行きたいか ばらばらになって会いたいか

廃棄軌道

小さいことばが すり減って 残りかすを どこに捨てただろう いつに向かって 叫んだ大きさで 私がまた見かけたとき それは どんなかたちを しているか

説得と懐柔の毎日を捨てろ。 自分による自分に至る行動をしろ。

腕に顔を乗せてうつらっとした瞬間に、ガラスの食器が割れるまぼろしの音と、腕の関節が鳴る現実の音が重なって覚醒した。 みんな白い服を着て徘徊と礼拝をする世界の光景を実体の無い存在で見ていたい。誰も人間じゃない。

今年の夏は朝窓を開けた時のセミの音量が物凄い。今日は庭の日陰に、この間も来ていた猫が眠っていて、窓からこっそり寝顔を眺めていたら、その場所に陽が当たり始めたので、少しだけ場所を移動してまた寝ていた。気温が高くなっていって、いつの間にかいな…

みているゆめが純粋だとしたら、生活は不純物、純化する眠り、ろ液したたる、寝台の地下に、深く芽吹くもの

7月5日 積乱雲が太陽に縁取られて光って、隣で波しぶきが起こる空。 7月11日 抱きかかえているアヒルに指を噛まれている夢をみる。 7月12日 洗顔していたら泡で大きな鼻ちょうちんができた。 7月20日 雨があがった草むらに猫が横たわっているのを、時間を置…

私の眠りとあなたの眠りは 等しいだろうか 逝った記憶が辿られて 知らないあなたがいることと 知っているあなたがいることは同じで 近づけるふりができたとしても 硝子箱の内側 こわして触れる 乞わして映る 目前すら記号の分身か

ここ、ここには、ここという響きしか存在せず、昨日の感情を忘れる、失うべきこと、あすの挙動は沈黙のために。小さな上書きをして、それを気付いて悲しんで。

薄暗い薄曇りのまるいおぼろ月がきれい。 お酒を飲んで夏の夜みたい。 誰かが居ても、誰もいないような時の刻み、 とても不自由でとても優しい。

昼と夜の白い覚え書き

車の後部座席から白い花をさがす。ショッピングセンターで白いスニーカーを見る。特大のレアチーズのデザートを買う。 落とした照明の下の花瓶の白い芍薬の花びらがきれい。レアチーズの上のホイップクリームがおいしい、録画した淡い色調のアニメを見ながら…