食事をすることに身が入らない。食べることが空腹感を無くす作業になっていく、ここまできてやっと幸福な食事の欲求に気付く。信じようとしたその分の反動が自分から自分へ跳ね返ってくる。日々が執拗に説けていくよう。埋めてもいつかに掘り起こされて、還…

母が空気を入れ換えるために窓を開けると、鳥たちの声がぼうっとしていた私にも聞こえてきてはっとした。目に入る梅の枝にも花が咲き始めて躊躇なく浮かれようと思った。

急に雨が降ってきて、開けたままの家中の窓を急いで閉めて回る。前に住んでいた家、今住んでいる家、どこか見たことのある、見たことのない、いくつもの部屋に入っては閉じる。窓から薄い曇り空が部屋部屋の様相を明らかにしている。