2016-01-01から1年間の記事一覧

冬至を抜けたまだ暗い朝に雨がしとしと降っていて、時折“タン”と屋根に大きくひとつぶが落ちるとき少しこわくなる。 事柄、事象、今起きたこと、今起きていること、これから起きるかもしれないこと、それらによって、制限がかかるような機能、解く、解く、と…

頭のまわりを周遊する軌道がいくつかあって、そのどれにも視点が合わず、ただなにかが動いている。 露出オーバーしていって、光によって見えなくなる光、人からも見えない、私もなにも見えないで、不干渉にとどまって、さわらないで、歌って。

夜のあいだに、自分以外の人間への感知の休止をする。喧騒より煩い一つ一つの響きになって、嫌悪が膨れあがった癇癪を、他人が静寂であることを蓄えるような、おかしな、おかしな、

10月3日 はやく長袖のカットソーで腕を覆いたい。 10月4日 頭を冷やすのに一時間掛かった。 自分のみているものを信じること以外になにもない。 10月7日 ここにこころあらず 10月31日 スーパーのお惣菜コーナーの、栗の形をした栗の実入りの焼き栗コロッケが…

だれかと同じところへ行きたいか ばらばらになって会いたいか

廃棄軌道

小さいことばが すり減って 残りかすを どこに捨てただろう いつに向かって 叫んだ大きさで 私がまた見かけたとき それは どんなかたちを しているか

説得と懐柔の毎日を捨てろ。 自分による自分に至る行動をしろ。

腕に顔を乗せてうつらっとした瞬間に、ガラスの食器が割れるまぼろしの音と、腕の関節が鳴る現実の音が重なって覚醒した。 みんな白い服を着て徘徊と礼拝をする世界の光景を実体の無い存在で見ていたい。誰も人間じゃない。

今年の夏は朝窓を開けた時のセミの音量が物凄い。今日は庭の日陰に、この間も来ていた猫が眠っていて、窓からこっそり寝顔を眺めていたら、その場所に陽が当たり始めたので、少しだけ場所を移動してまた寝ていた。気温が高くなっていって、いつの間にかいな…

みているゆめが純粋だとしたら、生活は不純物、純化する眠り、ろ液したたる、寝台の地下に、深く芽吹くもの

7月5日 積乱雲が太陽に縁取られて光って、隣で波しぶきが起こる空。 7月11日 抱きかかえているアヒルに指を噛まれている夢をみる。 7月12日 洗顔していたら泡で大きな鼻ちょうちんができた。 7月20日 雨があがった草むらに猫が横たわっているのを、時間を置…

私の眠りとあなたの眠りは 等しいだろうか 逝った記憶が辿られて 知らないあなたがいることと 知っているあなたがいることは同じで 近づけるふりができたとしても 硝子箱の内側 こわして触れる 乞わして映る 目前すら記号の分身か

ここ、ここには、ここという響きしか存在せず、昨日の感情を忘れる、失うべきこと、あすの挙動は沈黙のために。小さな上書きをして、それを気付いて悲しんで。

薄暗い薄曇りのまるいおぼろ月がきれい。 お酒を飲んで夏の夜みたい。 誰かが居ても、誰もいないような時の刻み、 とても不自由でとても優しい。

昼と夜の白い覚え書き

車の後部座席から白い花をさがす。ショッピングセンターで白いスニーカーを見る。特大のレアチーズのデザートを買う。 落とした照明の下の花瓶の白い芍薬の花びらがきれい。レアチーズの上のホイップクリームがおいしい、録画した淡い色調のアニメを見ながら…

往路迷宮

せめて疑い尽くして得たい、か、と自分を疑う。何も得たくない、得なくていいように、失っていけばいい、失って、削いで、それをまた疑うか、 (君に来てほしい。ただ君に来てほしい。君が来るのを見たい。君だけが来るのを見たい。)

神社で落ち葉を撮っていたら余震でぎしっと揺れる。新緑の葉いっぱいの大きな木が風で揺れる音の中で、地震で古い建物が軋む音がする、のか、おうちへ帰ろう。 夕刻麦畑がやわらかく光る。前から歩いてきたおじいちゃんと一緒の女の子が「カメラだー!」と言…

ひとりぼっちのドレス 孤独の正装 どこか不穏なワルツ 倒錯する よろこび、よろめき、よわかれ(世、別れ) 真夜中の列車に乗って、どこへもたどり着かずどこまでもゆく夢をみたい。 ねむっているあいだだけ旅をしていて。

私から遠ざかって、遠ざかるけれど私の頭の中にある、白い場所に行きたくて、今日も転ぶ。 いつ、息を止めているのか。自分を信仰しているのか。

人々の世界唱 全方向反響 共鳴などしない 歌うだけ、謳うだけ、現象は、わたしだけ、あなただけのもの。わたしは、うつくしいことを解せ。解して、厭きた縷々を祭り、催せ。生の内に、死を祝え。

自分がどう話すかについてのことを考えていた。 どう会話してみたいかについて考えている。 考えるほど、語らいびとをたれびととこしらえる。

(私は頭の中から出ていけ。そして消えろ。) 幻想しか抱いていない。現実に足を着けず、ベッドの上で、地から少しでも離れ、 私は私の正論を要らない。ただ生滅する。

1月12日 夢の中の憎しみや罵倒は何なのか 1月13日 近くをヘリコプターが飛んで窓が振動する 1月18日 冷たくて重そうな風が吹いている 1月25日 浴槽のふちから水滴が湯船にすべりおちた 1月31日 なにかしなきゃ

窓は夢をみている あの声を聞いて 窓は描けない 音無し夢は通過の映し うつつの私は歌をうたう 窓はそれを留まらせる 音溶けのものはこちらですか 音問い頼んだものは 音として 遠ざかるすべて

きれいなひとに会って、きれいな時間が生成されて、そのかえりみちに、なにも落としていないこと、夢想している。 ひとりで歩くこと、ひとりで見たもの、光線、享受、息を吸う。 対話すること、夢みたいだ。