病院の待合室で、男の子が遊んでいたおもちゃのケーキがプラスチックの音をたてて足元へ転がってきて、あわわと拾って、近付いてこられたお母さんの腕だけを視界に入れながら手渡した。(「すみません」「いえいえ」)淡いグリーンのソファーももう寒々しくなく春の色に見えるのかもしれない、中庭の木々とガラス張りの光の中で、いつものように微睡みのふりをして待っている。