生まれる
元の形を失ったヘッドフォンを付けて音楽で頭の中をびたびたにして不誠実な夢を見て目覚める。そういうひとである。
鍵を忘れた扉が、明け方に白んでもなかなか掛けられずにいた。暗がりでふつと点いた火種が、可燃材に落ちる前にひしと消化を行ったはずなのに、燃え上がるのを恐れて起き下がる。それからどうしてこれを見るかで布団ごと平らげた。
町で誰かが事故に遭いそうになる度々、怒鳴る叔母は対象を持たず、私の隣にはその娘の従姉妹の子がいる。繋いだ手は同じ気持ちだとでも言うように力を放った。
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