台風が通り過ぎた後、灰色の空、アパートの前にできた大きな水たまりの中で一人無表情で遊んでいる女の子、頭上に三角の凧を飛ばしながら走り回って笑う男の子、神社の敷地内に散乱している大木の折れ枝。スーパーのパン売り場にはパンがほとんど残っていなくて、ああ台風の時はそうだよなと、残り物の中からドーナツを手に取って、私も一人で外へ遊びに行けばいいんだ、緩い吹き返しの風の中を、なぎ倒れている植物を見に、長い髪に湿った空気を纏うために走って。ああ。