おばあちゃんに会うために初めてICUに入った。何の略なのかは知らない。出入りの複雑さとディスプレイに並んだ数字と、おばあちゃんがゆっくり頷くのが焼き付いた。撮りたかった。
台風を越えた鳥の卵は、ひなが生まれて口を出している姿を最後にいなくなった。「もう巣立ったんじゃないか」と言う父に「でもまだ早いでしょう」と、母は獣のにおいがするとも言った。かなしくもうれしい、受け入れるとはどんなことだろう。