母とおばあちゃんに会いに病院へ行って、眠そうな手を握った。口からひとことだけをきいた。眠っている姿に見送られた。それから出会したおばさんたちにケーキをご馳走になった。気にするか否かについて耳を傾けながら、私は店内に飾られている油絵に何度も目をやった。青い厚塗りが素敵だった。お店の駐車場傍の堀割には万年の亀がいた。いつかに飼っていた亀が大きくなったとき、母と弟と川へ放しに行ったことをふたりで思い出した。今日はたくさんのことを思い出した気がする。